原発と、被災地と、AKB48。「絆」とは何だろうか?

原発も、AKB48も、被災地との関連が深い。
同じようにエネルギーとマネーで、都会と田舎とを結びつける。
でも、そこで生み出されるエネルギーには雲泥の差がある。

一方は被災地を生み出し、一方は被災地を支えようとする。

都会と田舎、そして絆。

AKB48とジャニーズ。
被災地のために1年間、募金を集め続けた。 総額12億と8億円。
その使い方が興味深かった。
全額を被災地の子供のためにと寄付したジャニーズ。
顔が見えないお金に変身。

*1 ヘンシ-ン (/▽\*)三\(▼皿▼)/トォー!!

一方、AKB48は寄付に加え、送迎バス、目に見える形で残した。
人の助けにもなるし、宣伝にもなる、一石二鳥の方法だ。

 ヾ(- -;)

今までの、裏で飛び交う音楽マネーとは、一味も二味も違う?
選挙とか、子作りとか、いろんな問題を社会に提起してくれる。

「生きた金」とは何だろうか?

関係ないが、ついでに言っておくと
被災しても、被災からは除かれてしまう、その他の地域は、
このまま忘れ去られていくのだろうか?

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つい、先日、原発マネーがテレビで特集されていた。

これを見て、とう感じただろうか?

NHKスペシャル  3.11 あの日から1年 調査報告
原発マネー 〜“3兆円”は地域をどう変えたのか〜

2012年3月8日(木)22:00〜22:49(NHK総合テレビ

原発関連の自治体に流れたお金。
昭和40年代からの総額は3兆1,120億円。
国からの交付金、税金、電力会社からの寄付金…。

原発マネー3兆円」 と 「もらわにゃ損々村」

たった3兆円で、安いエネルギーを買い続けていたのか…。
それにしても、使い方、ちょっとお役所的で、「雑」すぎない?
村では、お金を持て余している、ようにも見えた。
都会から田舎に、お金を垂れ流しているようにも見える。
到底、「生きたお金」には見えなかった。

また、原発を立地しているかどうかで、地域格差が生まれてた。
含まれるのは原発関連の自治体だけ。 青森とか例外もあるが。
その周囲の自治体は、見返りすら入っていない現状があった。

顕著にあらわれたのが平成合併。
次々と地名が地図上から消えていった。→不公平感
まるで都会の欲が田舎の命を弄んでいるかのようだ。

安い電気の裏に見え隠れする、田舎で晒されたままの誇りと命。
それじゃ、これから生まれてくる新しい命は報われないだろうよ。

原発マネーで潤わなかった隣接の被災地域は、
被害を被っただけ? 損してるじゃ?
国の情報をそのまま鵜呑みにしていいのか? 不信感。

今度の原発問題で、大慌て。
滋賀県は独自に拡散予測&被害マップを作った。
大阪も公開を求めている。

スピーディがあるなら、そっちからは出てこないんけ?
いらないじゃん。

国はそれだけ信用されていない。
そして、税金は無駄に使われていく。

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原発マネーで、田舎は豊かになったのだろうか?

原発マネーの最大の問題は、
支援の手が、田舎の自立には繋がっていないことだろう。

若者が減り、子供が減り、高齢化社会が促進…、
残りは、お年寄りと、原発関連で働く家族だけのように見える。
原発への不安もあるだろう、さらに加速させていたのでは?

実際に、田舎には活気が戻っていない。
子供が増えていない。 現状維持で精一杯だ。

原発マネーは、地元の反発勢力を抑えるために使われた。
見えた目は、潤っているようにも見える。
しかし、地元の人たちは、モノが言えなくなってしまった。
金が死んでいる…もったいない…。

不安は、人の心をジワジワと蝕んでいく。
原発問題、子供を持つ女性は、敏感に反応し、行動に移した。
でも、男性はつい虚勢を張ってしまうところがある。 悲しい性だ。

原発事故を期に、原発で働いていた人たちは、ますます
見えない”うしろ指"を気にしながらの生活になっていくだろう。
そんな親たちの姿を見て、子供はいじめに遭うかもしれない。
逆に、反発して加害者になるかもしれない。
被災地から非難してきた子供たちにとって、他人事ではない。

仕事や家庭、地域に誇りを持つ人が好きだ。
そんな人たちが集まった地域なら、いじめの解決も容易だろう。

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被災地のがれき処理、今でも滞っているらしい。

なぜ大阪では受け入れてくれないの?
ねぇ、橋下徹市長? えっ、府知事に言えって? いやいや…。
市民の反対の声が根強いらしい。

この「がれき処理」の問題は、
原発マネーの問題を、より身近なものにしてくれそうだ。

確かに、被災地の不安を分かち合うのも必要だろう。
でも、実際は…。

お遍路の路、約1200km、歩いてみたことがあるだろうか?

地元の人たち、お遍路するボクらには近づいてきてくれた。
親切にしてくれた。 人ってこんなにもあったかいんだな。 ありがたい。
でも、本当に困っている浮浪者の人たちには、近づこうとはしない。
困っているかどうかよりも、信仰してるかどうかってのが重要らしい。
仲間意識だろうか?

怖いものには近寄りたくないってのが、庶民なのかもしれない。

被災地のがれきの山を、巨大なモニュメントとして残す。
被災の「見える化」。 そんなやり方も、あるだろうよ。
(それで、すべてが無くなるはずもないのだが)

広域処理よりも、震災瓦礫で、津波・震災被災地に山を作れ / Sasayama's Watch & Analyze 2012年3月10日

利益は一部で独り占めしつつ、
辛い時だけ、国民感情に訴えて、どうすんの?
そう思っていたら、首相もようやく重い腰を上げたようだ。

首相「震災がれき、大胆に活用を」、盛り土や道路などに朝日新聞 2012年3月13日12時7分

そうそう。 金がない、金がない、なんて言ってないで。
そうやって、ワクワクする政策を増やせばええんや。

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原発で仕事している人」もいっぱいいたので…

地元の人のこんな素朴な言葉が、耳に残った。

「仕事」とは何だろう?

これだけ世間に迷惑をかけても、血税を垂れ流し続ける原発…。
これだけ世間に不安を与えても、利潤を追求しようとするのか…。
それで、子供に胸を張って「立派な仕事をしている」と言えるん?

不安を与え、マインドコントロールして、利益を貪り続ける。
それじゃ、まるでサギや悪徳商法の手口と同じじゃないのか?
最近の政治手法は、いつもこんなだ。いやんなる。
オセロ中島さんの事件を思い出す。

もちろん、田舎だけが悪いんじゃない。国だけが悪いんじゃない。
都会の欲が、無駄なエネルギーを要求していたのも確か。

生きるには最低どのくらいのエネルギーが必要なのか?
このエネルギーは、どうやって作られたものなのか? 命は大丈夫?
しっかりと考えて、気を引き締めて使わなければならない。

できるなら、皆の心が温まるようなエネルギーを使いたい。

太陽のような。
温泉のような。
そよ風のような。
せせらぎのような。

心を穏やかになるような電力はないものだろうか?

絆を感じつつ、身近なものから考えていくしかない。

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なぜ東電は破綻しないのか?
株主責任はどうなった!?
お金の損得勘定よりも、命の損得勘定ではないのか?

会社更生法とかさ、
既存の法律の範囲で考えようとするから、
何もできなくなってしまうのでしょう。
ルールを守るのは大切。 でもさ
ルールに縛られて何もできないって、アホすぎ。

30年の廃炉プロジェクトを懸念しての細野環境大臣の発言。
「私は、自信がない…」

「じゃ、辞めてくれ」 「代わりはいくらでもいる」
それが、今までの、資本主義社会。
本当に、彼らの代わりはいるのだろうか?
そして、代わりがいないとするなら、その組織は、持続し得るん?
今後も、生き残っていけるん? 疑問が残る。

オーロラは美しい。 魅了されるが、それだけでもない。
地球の磁気が乱れ、通信衛星GPSに障害がでることもある。

裏と表、さまざまに繋がっている。
見たくない「絆」は見えにくい。

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首相「震災がれき、大胆に活用を」、盛り土や道路などに朝日新聞 2012年3月13日12時7分

 東日本大震災で発生したがれき処理を進めるため、野田政権は13日、第1回の関係閣僚会合を開いた。野田佳彦首相は「今までの発想を超えて大胆に活用してほしい」と要請。関東大震災のがれきで横浜市山下公園を整備したエピソードを引き、将来の津波から住民を守る防潮林の盛り土や避難のための高台の整備、道路などの材料として、被災地のがれきを再利用していく考えを示した。

 細野豪志環境相は会合後、「鎮魂の気持ちとともにがれきを処理していく」と述べ、まず防潮林としてがれきを利用する準備に取りかかる方針を示した。環境省は、復興のシンボルとして三陸地方の自然公園を再編する「三陸復興国立公園」(仮称)の整備にも活用する方針だ。

 このほか、セメントや製紙業など、焼却設備を持つ民間企業にも協力を求める方針を確認。経済産業省はこの日、関係する業界団体に要請文書を送った。同省によると、汚泥をセメントの原料にしたり、木くずなどを製紙業のボイラー燃料にしたりして、2月20日現在、企業が約10万トンのがれきを処理したという。

滋賀県、原発の防護区域42キロに拡大 独自に拡散予測朝日新聞 2012年1月29日21時5分

 滋賀県は、隣接する福井県原発で重大事故が起きた場合を想定し、避難などが必要な緊急時防護措置準備区域(UPZ)を独自に拡大し、最大42キロの範囲まで広げる方針を固めた。国は原発から30キロ圏を目安にしているが、県が独自に実施した放射性物質の拡散予測に基づいて見直すことにした。今年度中に地域防災計画を策定し、国に報告する。

 UPZは原発事故の際に放射線の測定値が一定レベルを超えた場合に、避難や屋内退避などが求められる区域。地理的条件や社会的条件をもとに自治体が設定するが、都道府県が独自に範囲を拡大するのは初めて。

 県が拡大の根拠としたのは、福井県関西電力美浜原発(同県美浜町)と大飯原発(同県おおい町)で、東京電力福島第一原発事故並みの事故が起きた想定で、シミュレーションした放射性ヨウ素の拡散状況。呼吸に伴う甲状腺の被曝(ひばく)線量が屋内退避の指標となる100〜500ミリシーベルト未満(1日に屋外に8時間、屋内に16時間いた場合)に達する範囲が30キロ圏を超えて、滋賀県北部の長浜、高島両市の一部にも広がったことから、UPZを拡大する必要があると判断した。この結果、対象区域の人口は当初の約1万3千人から約4万人に増えることになる。

 UPZを拡大すれば、線量計や防護服などの配備や放射線量を測定するモニタリングポストの設置などに新たな費用がかかることから、県は今後、30キロ圏内と同様の予算措置を求める。

「支持率うなぎ上りに回復する」と首相を絶賛 震災がれき処理 /msn 産経ニュースwest 2012.3.12 11:58

 橋下徹大阪市長は12日、野田佳彦首相が被災地のがれき処理について、災害廃棄物処理特別措置法に基づいて都道府県に受け入れを要請する意向を示したことについて、「すごい覚悟を持たれた決断。こういうことができれば、首相の支持率は一気にうなぎ上りに回復する」と評価した。

「行動と実行の積み重ね…本来の政治だ」

 震災がれき処理を前向きに検討している橋下市長は、「平時は地方分権をしっかりやり、緊急状況では国がしっかり指揮命令系統を持つことが重要」と指摘。「首相は『決定できる民主主義』をやろうとされている。一身に批判を受けることになるが、これが本来の政治だ」と期待を寄せた。

 また、橋下市長は、東日本大震災の発生から1年を迎えたことを受け、「言葉だけではなく、行動と実行の積み重ねしかない。行政としては、被災地の皆さんが何とかしてほしいと言っているがれきの受け入れ処理が喫緊の課題だ」と改めて強調した。

AKB48、被災地に5億円と学校送迎バス30台寄付へ / 読売新聞 2月19日(日) 12時25分配信

 アイドルグループ「AKB48」は18日、日本赤十字社を通じて約5億8500万円と、学校の送迎用バス30台を寄付すると発表した。

 寄付金はファンからの義援金とCDの販売収益の一部など。バスは岩手、宮城、福島の3県に10台ずつ贈る。

 AKB48はSKE48など姉妹グループとともに被災地訪問や募金などの活動をしており、今回の分を含め寄付金は計約12億5400万円になるという。

オーロラ、世界各地で観測 太陽嵐が到達 停電や電子機器へのトラブル報告なし日本経済新聞 2012/3/10 12:54

 【ワシントン=共同】太陽表面の巨大な爆発現象「太陽フレア」で放出された電離ガス(プラズマ)などによる太陽嵐が地球に到達し、米東部時間9日未明(日本時間9日夜)、世界各地で幻想的な色を放つオーロラが観測された。

 当初懸念された停電や電子機器などへのトラブルは今のところ報告されていないという。

 AP通信によると、米ワシントン州ミシガン州など比較的低緯度でオーロラが観測されたほか、南半球のニュージーランドやオーストラリアでも報告された。

 今回のオーロラの原因となった太陽フレアは米東部時間6日に発生。プラズマは同8日に地球に到達し、同9日まで降り注いでいた。当初は予想よりも規模は小さかったが、同9日から勢いを増し、プラズマが大気と衝突してオーロラになったという。

 米海洋大気局(NOAA)の宇宙気象予報センターの専門家によると、太陽は約11年周期で活動が活発になり、次は2013年に極大期を迎えるとされ、今回のような現象が増す可能性もあるという。
 

NHKスペシャル「調査報告:原発マネー 〜3兆円は地域をどう変えたのか〜」書き起こし・ほぼ完全版 / togetter.com 2012年3月8日

3月8日夜のNHKスペシャルを文字起こししています。by toshihiro36

<ナレーション> 原発事故で住民8000人が避難を余儀なくされている福島県楢葉町。町の様子を確認にやってきた草野孝町長です。「あれが第二」町内にある東京電力福島第二原子力発電所です。事故が起きた福島第一原発、そこから15キロのところに第二原発はあります。

<ナレーション> 福島県は国と東京電力に対して、この第二原発廃炉にするよう求めています。原発事故による放射線の影響で、警戒区域に指定された楢葉町。それでも草野町長は「原発が必要ない」とは言えないといいます。

草野町長: 今までも原子力の依存度が100%でここまでやってきた町だから…東電があったからこれだけ町も発展してきたわけだから・・・

<ナレーション> 史上最悪のレベルとなった福島第一原発の事故。全国の自治体は原発にどう向き合おうとしているのか。 NHKは原発や関連施設がある全国44の自治体を対象にアンケート調査を行いました。今後原発をどうするか尋ねたところ、脱原発を進めると答えた自治体は8つで、


http://t.co/ukZdwDd6 脱原発

<ナレーション> 脱原発は勧めない、今は判断できないとした自治体が多数を占めました。その多くが「原発によって国や電力会社からもたらされる金がないと困る」と回答しています。交付金・寄付金・核燃料税・・・その全体像や使われ方は、これまで明らかになっていませんでした。

<ナレーション> 私たちはこの金を“原発マネー”と呼び、取材を始めました。 いったいどれだけの金がもたらされてきたのか?今回の調査で自治体がこれまで受け取った原発マネーは総額3兆円を超えることがわかりました。

<ナレーション> 全国の自治体で最も多い3000億円を受け取っていた新潟県柏崎市。地域振興の名目で次々に作られた公共施設。毎年、多額の金が国から入るしくみが出来上がっていたといいます。

元・柏崎市長: 金を右から左に自由にできた。人には言えないが、喜びだ。

<ナレーション> 原子力施設が集中し、電力業界から多くの寄付金を受けてきた青森県。取材を進めると、原子力施設がない自治体にも多額の寄付金が配られていたことがわかってきました。その目的は何なのか。

元・青森県幹部: 根強い反対を抑えるために寄与するように運用しようと。“メリットがあるよ”というのを目に見えるようにやらざるを得なかった。

<ナレーション> 私たちの電気料金から徴収され、国や電力会社が地元につぎ込んできた原発マネー。巨額の金は何をもたらしたのか。その知られざる実態に迫ります。.

<ナレーション> 福島県いわき市。町の一角に楢葉町役場の仮庁舎があります。1月、町は新年度予算の編成に追われていました。財政担当者は頭を悩ませていました。原発の運転を条件に自治体に支払われる原発マネー。福島第二原発が止まっているため、町の収入が急激に減る恐れが出てきたのです。

財政担当者: あったものがなくなるので、これはつらいですね。


http://t.co/e9YEs0eb 楢葉町の歳入

<ナレーション> 震災前の楢葉町の歳入です。59億円のうち東京電力が収める核燃料税などの税金が16億円。そして、国からの交付金が9億円。原発マネーが全体の43%を占めていました。原発が止まったことで、来年度すでに2億円減ることが決まっています。

<ナレーション> さらに廃炉になれば原発がもたらす財源がすべてなくなってしまう恐れがあるのです。

草野町長: 我々もこんな災害を受けて、今まで交付金を受けていたのを止められたら…一般財源はカラ交付金はゼロとなったら、どういう財源で…自主財源はカラっぽなんだもんな。これはダメあれはダメだと言われたら、どういう方法で復興財源にあてろっていうんだ。

<ナレーション> 今、楢葉町の住民は町から離れた仮設住宅福島県会津美里町)で避難生活を強いられています。どれだけの住民が町に戻ってきてくれるのか。草野町長は不安を募らせています。原発事故の前、町では3人に1人が原発関連の仕事についていました。住民たちの気持ちも揺れています。

住民(女性): それなりに潤っていたので…そんなすぐ簡単に廃炉にして…という考えはありますけど。仕事している人もいっぱいいたので…うん。

住民(男性): 子供がって考えるとこっち(避難先)に残りたい人が覆い多いですよね。そういうのを考えると、こっち(避難先)にいた方がいいのかな…

草野町長: 若い世代はそうでしょうな…

<ナレーション> 先月、草野町長は楢葉町の中心部を視察しました。4月にも行われる警戒区域の見直しで、将来住民が戻れる可能性が出てきたのです。

草野町長: 毎日毎日、ここはにぎやかだったの。人いっぱいだったな、2時ごろ。 カラスの声しか聞こえない。

<ナレーション> かつては原発で働く人たちでにぎわった町。住民がいなくなったことで町民税など原発以外からの収入もほとんどなくなっています。

草野町長: いやぁ、ほんとに困ったもんだ。今まで作ったものゼロに等しくなっちゃったんだな。

<ナレーション> 原発がなければ復興のための財源も住民の雇用も確保が難しい。町の現実です。

<ナレーション> 自治体の財政を支えてきた原発マネー。その実態を知るため、NHKは原発や関連施設がある44の自治体にアンケート調査を行いました。国や電力会社からどのような金をいくら受け取ってきたのか聞きました。


http://t.co/ZZooCIbq 原発マネーの種類

<ナレーション> 原発マネーは大きく分けて3つ。電力会社が納める核燃料税などの税金。そして寄付金。国が自治体に配る電源三法交付金です。これらはすべて利用者が支払う電気料金から徴収されています。調査の結果、これまで全国の自治体が受け取った原発マネーの総額は、

<ナレーション> わかっただけでも3兆1127億円。歳入に占める割合は、平均35%。その金はどのように使われたのか。全国の市町村で最も多い3000億円を受け取った新潟県柏崎市を取材しました。東京電力柏崎刈羽原子力発電所。出力は世界最大、首都圏の電力の20%を生み出してきました。

<ナレーション> 柏崎市役所をを訪ねると、意外な事態が起きていました。全国最多の原発マネーを受け取ってきたにもかかわらず、借金が573億円。年間予算を上回るまでに膨らんでいたのです。(年間予算521億円) 広報誌で財政の危機を訴え、住民サービス削減への理解をを求めていました。

財政担当者: 非常に厳しい状況なので、新しく(財政)計画を練り直して…そういった経済状況をどうやって乗り切ろうかということで、市民のみなさまにも現状をお知らせして対策をとっていこうと・・・

<ナレーション> 財政悪化の要因の1つは原発マネーで次々と作られた公共施設、その維持費です。同じ規模の自治体の5倍近い、年間13億円に上っているというのです。昭和61年にオープンした市立博物館。総工費16億円、売り物は柏崎に生息していたとされるナウマンゾウの模型です。

担当者: 約700万円くらいかけて作成した製品になっています。

<ナレーション> 入館料収入は年間89万円。一方、維持管理費は百倍のおよそ8900万円。(8884万円) 今年度から冬の間休館せざるを得なくなっていました。こうした施設の財源となったのが、電源三法交付金原発を受け入れる見返りとして国から自治体に地域振興を名目に配られる金です。

<ナレーション> 取材を進めると、この交付金制度は柏崎市原発誘致をきっかけにできたことがわかりました。昭和40年代、原発を誘致した時の経緯を知る人物を訪ねました。当時の市長の息子で父親の名前を引き継いだ小林治助さんです。

<ナレーション> 小林治助市長(在職期間 昭和38年〜54年)、当時の柏崎市の状況に危機感を持っていました。新しい産業が育たず、人口が減り続けていた町。小林市長が誘致したのが原発でした。

長男・小林治助さん: (原発を)にとつの起爆剤にして地域の活性化にいかしていきたいと・・・。 日本全体が高度経済成長みたいな大きく伸びた時期にも、正直なところ乗り遅れたみたいな現況があったんです。なんとかしなきゃいけない。これは目白の田中さんの事務所ですね。

<ナレーション> 小林市長が相談をもちかけたのが地元出身の田中角栄・元総理大臣。国は電力の安定供給のため原発を推進していました。そしてできたのが電源三法交付金です。原発を受け入れ、大都市に電力を供給するかわりに地域振興の名目で自治体に金がもたらされるしくみが作られたのです。

(坂井一照記者・報告) 電源三法交付金はどのように使われたのか。小林市長の2代あとに市長を務めた人物が取材に応じました。飯塚正さんです(在職 昭和62年〜平成4年)。交付金を市民サービスの向上につなげたいと考えたといいます。

坂井・報告: 飯塚さんの6年間の任期中に市が受けた交付金は198億円。その多くが公共施設、いわゆるハコモノの建設につぎ込まれました。

飯塚さん: 予算がね、これをやりたいという予算がすぐ組まれる。組まれるというより、それだけの金をすぐ右から左に自由にできた。

坂井・報告: なぜハコモノばかりが作られたのか。それは国が交付金の使い道を公共施設の整備に限っていたからです。

飯塚さん: 交付金は(使途が)みんな書いてある。何、何、何、何と。そのもの以外に使ってはならんということになっている。それを見て、その中でこれは当てはまるかなということで…。国の最高機関の人たちがこれとこれをやることはいいだろうと、自治体にそれ(交付金)を流すわけ。

飯塚さん: 交付金は(使途が)みんな書いてある。何、何、何、何と。そのもの以外に使ってはならんということになっている。それを見て、その中でこれは当てはまるかなということで…。国の最高機関の人たちがこれとこれをやることはいいだろうと、自治体にそれ(交付金)を流すわけ。

作田さん: ハコモノって目立ちますからね。いかにもメリットが目で見えるでしょ。そういう意味で訴える力が結構あったんでしょうね。当初はどうしても公共施設に重点がいったと思います。

坂井・報告: 次々と作られた公共施設。その維持費が市の財政を苦しめていきます。飯塚さんの後、市長を務めた西川(さいかわ)正純さん(平成4年〜16年)です。

西川さん: 補修費も含めた維持管理費というのは、そのハコモノが存在する限りはランニング的に継続していくわけです。

坂井・報告: さらに追い打ちをかけたのが交付金の減少です。交付金原発の立地を進めることを目的としていたため、原発の建設が続いているうちは増えていきました。しかし全てが完成すると、下がりはじめます。

坂井・報告: ハコモノの維持費に加えて交付金の減少で、市の財政は厳しくなっていきました。実は国はこうした問題点に早くから気付いていたことが取材でわかりました。制度ができた7年後の昭和56年、通産省の幹部が書いた論文です。

坂井・報告: 「使い道が公共施設に限られた交付金では維持管理費に困るところが多く、地域振興の効果が減ってきている」と指摘していたのです。 このままでは将来、財政が行き詰ってしまう。柏崎市が求めたのは新たな原発マネーでした。

坂井・報告: 西川さんが国に要望するため、平成7年からまとめていた資料です。そこに書かれていた「長期発展対策交付金」。原発を長く運転するほど交付金が増える新たなしくみでした。この制度が認められた平成9年から交付金は徐々に回復していきました。


http://t.co/RwmwFXv3 柏崎市への交付金

西川さん: あと数十年続く原子力発電所と起居を共にしているわけですよね。そういう中で、一定の原子力発電所に伴う財源をお願いするというのは…依存する、頼るでもいいですよね…反射神経的にそうなっていくわけですね。

坂井・報告: しかし、柏崎市の財政はその後も悪化。新たな交付金だけで立て直すことはできませんでした。

<ナレーション> 地域振興につながると作られた交付金制度。その問題点を当時の国の担当者はどう考えているのか。元資源エネルギー庁の作田さんは、自治体が期待を寄せすぎたのではないかと考えています。

作田さん: (国の)一番の目的は電源開発ですから。電源開発を実現するための手段が地域振興ですよね。これはあまり間違いないと思いますよ。使う人たちも当事者意識を持って、自分たちの町は自分たちで育成するという意識を持たないと難しいと思う。他人は決して手は差し伸べませんよ。

<ナレーション> 原発柏崎市に誘致した小林市長。息子の治助さんは原発に託した父の期待と現実は大きくかけ離れたと感じています。

小林さん: きっと(父は)腹が立って、机をたたいて激高するだろうね。 どうしてそうなるんだということにも片一方なるけどさ、国の方もちょっとやっぱり…おかしいところがいっぱいあるんだよね。

<ナレーション> 国が電源三法交付金を公共施設以外にも広く使えるよう改めたのは平成15年。制度ができて30年が経っていました。柏崎市でこれまで作られた施設は150を超え、綱渡りの財政運営が続いています。

<ナレーション> NHKが原発や関連施設がある自治体に行ったアンケート調査。多くの自治体がその額や使い道を明らかにしなかった原発マネーがあります。電力会社からの寄付金です。いま電気料金のあり方について見直しを行っている政府の有識者会議。ここでも寄付金の実態が不透明だと問題に。

<ナレーション> 寄付金は電力会社が自治体に直接渡すことができる金です。どれだけ渡すか自由に決めることができ、使った分だけ電気料金として徴収できます。しかし、金額や渡した相手はほとんど明らかにされていません。どれだけの寄付金が何のために渡されているのか。

<ナレーション> NHKが情報公開請求を行ったところ、36の自治体に324件の寄付が行われていたことがわかりました。その名目は雇用の支援や、村の発展。さまざまな事業が民間の電力会社の寄付金でまかなわれていたのです。総額はわかっただけで1600億円に上っていました(1641億円)。

<ナレーション> 全国で最も多い寄付金、475億円を受け取っていたのが青森県自治体でした。原発がある東通村に180億円、原発が建設中の大間町に45億円、核燃料サイクル施設のある六ヶ所村には32億円が渡されていました。

<ナレーション> 取材を進める中で、直接自治体ではなく、ある財団に巨額の寄付金がわたっていたことがわかりました。むつ小川原地域・産業振興財団、そこが受け取った寄付金の総額は184億円。

橋本記者・報告: なぜ財団に巨額の寄付金が渡っていたのか。財団の事務所は青森市中心部のビルにありました。 平成元年にできたこの財団、設立したのは青森県でした。産業に乏しい市町村の地域振興が目的だといいます。.

財団理事長: 県内全域の地域の振興あるいは産業振興が大きな目的でございます。それに関わる事業に対して、私どもが支援しているということです。

橋本・報告: NHKが入手した財団設立の際の協定書。交わした相手は全国10の電力会社で作る業界団体・電気事業連合会でした。設立にあたって電事連は財団に50億円を寄付。その後、毎年5億円から6億円の寄付が行われていました。受け取る側には青森県の市長村長の名前が並んでいました。

橋本・報告: 取材でわかった寄付金のしくみです。まず電事連が全国の電力会社から分担金を集めます。これが青森県の財団を通じて県内の全ての市町村に配られていたのです。なぜこのようなしくみができたのか。当時、電事連青森県との窓口役だった人物が取材に応じました。

橋本・報告: 東京電力出身の赤間紘一さんです。

赤間さん: 全県に(寄付)というのは青森県だけですかね、ああいう仕組みはね。反対の人たちが多かったですから、それらの地域にも我々は何らかのお手伝いをしたいということで…

橋本・報告: 赤間さんが懸念していたのは、当時六ヶ所村で計画が進められていた核燃料サイクル施設への反対運動です。電力業界は全国の原発で使い終わった核燃料をこの施設で再処理する計画でした。もし事業が止まれば、使用済み核燃料が溜まり続け、全国の原発を動かせなくなる恐れがあったのです。

橋本・報告: 財団に設立に携わった青森県の元幹部が取材に応じました。成田就悦さんです。電力業界とのパイプ役を務めていました。青森県にとって核燃料サイクル事業はどうしても必要なものだったといいます。

成田さん: 本当に収入がないんですよ、市町村も。財源がない。“貧乏県”の悲哀ですよ、明らかに。ですから、もう頼りにせざるを得ないんです。(核燃料サイクル)事業は止まる、そんなことになったら、今までの苦労はどこにいったか分からなくなりますよね。

橋本・報告: 平成3年の青森県知事選挙。事業に賛成する現職が苦戦を強いられたこの選挙をきっかけに、全市町村に寄付金が配られる仕組みができたといいます。電力会社の社員も選挙運動に動員されていました。このとき書き残していたメモです。

橋本・報告: 知事選は反対する候補が当選すれば、核燃料サイクル事業は4年間は凍結。組織的に進めねば、戦争には勝てない。 選挙は現職が逃げ切りました。知事の側近でもあった成田さんは、次の選挙をにらんで苦戦の原因を分析しました。


http://t.co/fuUFxWMV 青森県 交付金配布自治

橋本・報告: 当時、原発マネーを受け取っていた市町村は4分の1。受け取っていない地域で核燃料サイクル事業への反対運動が広がっていたことがわかりました。成田さんは電力会社を束ねる電事連赤間さんに、こう提案します。「寄付金を全ての市町村に配らなければ、反対運動は抑えられない」

成田さん: これは間違いなく、選挙が完全に危なかったんですね。そうです、その通りです。だから一番重要なのは、市長村長にも“自分たちにもきちっとメリットがある”と目に見えるようにやらざるを得なかった。県民の離反の方がはるかに怖いんでね。全県的にこういうものを交付できるようにしたと。

橋本・報告: 電事連赤間さんは寄付の背景に電力業界の強い危機感があったことを認めました。

赤間さん: どうしても(県の)トップにご理解いただかないと、(事業は)円滑に進まない。それはもう公平に選挙をやればいいのですが、どうしても推進していただくという方にぜひ引き続いてやってもらいたいなと…そういう思いはありましたよね。

橋本・報告: そして知事選挙の3年後の平成6年、電力業界からの寄付金が県の財団を通じて原子力施設のない市町村にもいきわたる今の仕組みが作られたのです。寄付金は地域の暮らしを支えるさまざまな事業に使われました。この金を通して市町村と電力業界との関係が深まっていったのです。

<ナレーション> 核燃料サイクル施設の建設が進み、使用済み核燃料の受け入れが始まったのは平成10年。その後トラブルが相次ぎ、平成21年には高濃度の放射性物質を含む液体が3度にわたって漏れ出しました。県民に不安が広がるなか、青森県は全ての市長村長を集めて会議を開きました。

<ナレーション> NHKはこの時の録音テープを入手しました。まず施設を運営する事業者がトラブルについて謝罪しました。

事業者:県民の皆様に大変なご心配をおかけして、改めまして深くおわびを申し上げたいと思います。

<ナレーション> 事業の安全性を確認する重要な会議。市長村長との質疑応答が行われました。

司会者:それでは皆様方から、ご意見などを賜りたいと思います。何かございましたら、お願いいたします。(会場沈黙) 何かご質問とか…再度お願い申し上げたいと思うのですが。質問でも何でも結構なんですけれども。

事業者:すいません、ご質問がないようですので、改めまして私の方から・・・・

..<ナレーション> 市長村長から意見や質問は出ませんでした。 福島第一原発で事故が起きたいま、市長村長たちは原子力事業についてどのように考えているのか。2人の現職町長が取材に応じました。青森県・南部町の工藤祐直町長です。.

工藤町長: 助成金をいただいているから発言ができない。極端に立場的に弱いということでは決してない。ただどこかではそういう部分があったのかなと、いま振り返りながら考えてみればですね・・・

<ナレーション> 青森県深浦町吉田満町長。これまでの姿勢を反省していました。

吉田町長: 安全とか原子力政策に関するさまざまな疑問提起はしていくべきなんでしょ。でもそれをしてこなかったというのも実際なわけですからね。今の状況の中では、まだ話が出しづらいというのも実情だと思います。実際もらっているわけですから、迷惑施設としての交付金を。

<ナレーション> 原発マネーを受け取ってきた自治体。最も重要な安全について、どう声を上げていくのか模索が続いています。

<ナレーション> 住民の避難が続いている福島県楢葉町。このまま原発が動かなければ、町の復興は難しいと考えている草野孝町長です。東京電力の新しい副社長が、先月草野町長のもとへ挨拶に訪れました。

<ナレーション> 事故を起こしたことを謝罪する副社長。町長は気になっていたことを尋ねました。

草野町長: 今後の問題についてちょっと副社長にお話ししたいのだが…第二原子力発電所ね…いま我々、第二原子力発電所あるわけなんだけれど、実際廃炉にするのか。廃炉にした場合だよ、我々の電源交付金の問題。それから雇用の問題。こういうものを、どう担保してくれるのかな?

東電・副社長: 先のことにつきましては、これからいろいろと…国民的な議論あるいは地元の皆さんのご意見…もちろん国のご指導・・・・

<ナレーション> 今後、第二原発をどうするのか。具体的な答えは得られませんでした。 先月、草野町長はある考えを示しました。国が受け入れ先を探している中間貯蔵施設。放射性物質を含む土や瓦礫を保管するこの施設を、町で受け入れる可能性を示唆したのです。

<ナレーション> 施設を受け入れることで、国からの支援が得られ、雇用も生まれる。住民が町に戻ってくるきっかけになるのではないかと、草野町長は考えています。

草野町長: 政府の方もただ“あんたの所さ頼む”というだけでないと思うんだよね。 そういうものはきちっと政府の方も担保して“ここに頼むよ”ということになれば、これは我々も受けざるを得ないのではないかと思うんだよね。

<ナレーション> 原発事故で誰もいなくなった町。復興のためには、これからも原発に頼らざるを得ない現実があります。

草野町長: これはほんとに皮肉の皮肉だな。どう考えていいのか、私らもどう返事していいのか訳わからない。摩耗しているような状態なんだ。こうすれば、こうではないかということを、すぐねぇ…原子力に代わる就職口、雇用の場はあるのかと言ったら、ないんだから。

<ナレーション> 地域の振興につながると信じ、原発を受け入れてきた自治体。そこに国や電力会社からもたらされてきた原発マネー。自治体とそこに暮らす人たちの意識を変えていました。さまざまな矛盾を抱えながら、原発と共存する地域の姿。私たちが使う電力と、それをめぐる金の問題。

<ナレーション> これからどう考えていけばよいのか、改めて問われています。

原発立地自治体へ原発マネー3兆円 唐津・薩摩川内・柏崎市付 / JC-NET 2012年2月8日

NHKが原発立地自治体に取材した結果、原発などの立地自治体には、原発の建設や稼働に伴って、国からの交付金や、固定資産税や核燃料税などの税金、電力会社からの寄付金が、昭和40年代から始まっていた。原発や関連施設のある13の県と北海道、それに30の市町村の合わせて44の立地自治体を取材したところ、その総額は3兆1,120億円に上っていることが明らかになったと伝えている。原発立地自治体は、原発マネーの漬物に化かしているのが実態である・・・。

<重要な財源>
多くの立地自治体にとって、こうした、いわゆる「原発マネー」は重要な財源で、これらが入ってくることを前提に事業計画を立てている。これまでの内訳は、交付金が9,150億円余り、固定資産税等の税金が2兆330億円余り、寄付金が1,640億円余り。寄付金の比率は、全体の5%余りだが、公開義務がないため実態は不明で、実際の金額はこれよりもかなり多いと見られている。また、交付金や税金は、原発が運転を開始したあと、年々減る仕組みになっているため、自治体側が、その代わりに寄付金を電力会社に求めるケースもあるという。電力会社からの寄付金は、公共工事から学校教育や地域振興などソフトな事業まで、原発の立地自治体の裁量で、幅広く何にでも使えるのが特徴である。

 今回、NHKが調査したところ、寄付金は、役場の庁舎や公営病院などの大規模な公共工事や、自治体が催すイベントなどの地域振興事業のほか、学生の奨学金など、教育の現場でも使われていることが分かった。

 国からの交付金原発の運転が始まると年々金額が減るほか、使いみちが平成15年まで公共施設の建設などに限られていた。このため、自治体の中には、こうした箱物行政による建設した施設の維持費がかさんで、財政負担にあえぐところも少なくない。

 それに比べ寄付金は、原発の立地自治体にとって使い勝手のよいお金で、各自治体が寄付金を求める背景には、こうした事情もある。

九州電力の寄付>もらわにゃ損損
NHKは、原子力発電所のある全国各地の自治体に電力会社が、提供した寄付金の総額はこれまでに1,600億円以上に上っていることが、各自治体への取材や情報公開請求でわかったとしている。
これまでの寄付金は、多い順に福井県で235億円余り、青森県で192億円余り、青森県東通村で180億円余りなど、総額は1,640億円余りに上る。
  玄海原発がある佐賀県玄海町に対する寄付金は、昭和58年度に20億円、昭和59年度に10億円の総額30億円に上っている。
玄海町によると寄付金の使い道をめぐっては、当時、住民に現金で100万円ずつ配布する案などが出されましたが、税金がかかるなどとして、町役場の庁舎建設費の一部にあてられたほか基金として積み立てられ町内の地区ごとで公民館の建設などにあてられている。

 また、佐賀県は、寄付金があった場合に年度ごとの決算で計上しているが、九電からの寄付について、何故か特定できないとしている。(佐賀県職員の古川知事への思いやりであろうか)
 佐賀県によると、九電から県に対し物品の形で、平成5年から平成17年にかけて県立総合グラウンドの電光掲示板や伊万里港の埠頭の一部用地などが寄付されている。

<電気料金の計算根拠>
家庭や企業が支払う「電気料金」は、直接発電にかかったコストに発電所の立地自治体への寄付金やオール電化などの広告宣伝費なども「費用」として組み入れる「総括原価方式」と呼ばれる方法で算出されている。

 このため寄付金は、実質的に電気利用者が負担することになるが、電力会社には相手先や金額などの詳細を明らかにする義務はないという。(こっそり選挙資金にでも流用していたのであろう)
 こうした寄付金のあり方は、電気料金制度の見直しを議論してきた国の有識者会議でも取り上げられ「これまでのように発電事業にかかった費用として認めるべきではない」と指摘されている。

<NHKの九州電力を意識した報道か?>
 NHKは、九電の玄海原発については、玄海町については詳しく報道しているが、唐津市については報道していない。佐賀県が関与している病院施設についても触れていない。また、川内原発薩摩川内市や鹿児島県についても触れていないようだ。

玄海原発隣接市の唐津市の場合>
佐賀県唐津市は、市町村合併により原発のある玄海町に隣接した。それまでは、隣接していなかったことから、電力会社から寄付金は貰えず、九電のプルサーマル発電導入における説明会でも、蚊帳の外に置かれた。しかし、当時、限界町と隣接する呼子町と合併が決定していたことから、唐津市議会が九電に対して、何故説明にこないのかと怒りを露わにして注文を付けた。その注文の成果があってか、九電から25億円の寄付金を頂くことが決定、その寄付金の20億円を「早稲田佐賀中・高校」(中高一貫制、早稲田大学の関係あり)の誘致する学校法人に寄付を要請、残る5億円を「唐津市民交流プラザ」の建設に頂くことになって一件落着、既に学校を開校し、建物も建ったことから既に支払われている。

佐賀県の場合、古川知事との関係>
 佐賀県知事が、肝いりとたっての念願で建設されている「九州国際重粒子線がん治療センター」(通称:がんセンター)(九州新幹線鳥栖駅前)。当施設は、重粒子線がん治療を行う日本で5番目の施設(4番目は陽子線の指宿)として来春開業予定。運営は、佐賀県佐賀県医師会で構成する「佐賀国際重粒子線がん治療財団」があたる。
 当施設の総事業費は約150億円、そのうち、プルサーマル発電を快諾した佐賀県の古川知事に対して、九電が40億円の寄付を申し入れ決定している。この寄付金も今後、何回かに分けて九電から財団に支払われることになっている。
 当施設は、がん治療や研究に大変重要であろうが、重量子線での治療代金は約300万円(検査費用別途)、残念ながら、健康保険を使えず「金持ち専用病院」。このことを佐賀県民や隣接する福岡県民は知っているのであろうか。

 九州電力と古川知事の関係は、お金で換算すれば(寄付金)40億円の縁である。

薩摩川内市の場合>
 川内原発のある薩摩川内市では、わかる範囲内との前提で、これまでに約27億円を九電から、寄付及び事業支援の名目で頂いたそうである。

<鹿児島県の場合>
 鹿児島県は、県独自に九電から寄付を頂戴したのは、過去10年間で25百万円としている。佐賀県の場合、「重粒子線がん治療センター」を建設している財団が、九電から40億円の寄付を貰うことで決定しており、指宿市(鹿児島県)でも「がん粒子線治療研究センター」が既に財団により運営されていることから、当財団が九電から寄付を貰ったかどうか問い合わせした。しかし、回答の連絡がないままである。

<寄付金は、原発爆発事故後も>
電力会社から原発の立地自治体への寄付は、去年3月、東日本大震災原発事故が起きたあとも、各地で続けられている。
中部電力は、静岡県に対し、去年8月、4億60百万円余りを寄付している。
これは、静岡県浜岡原発の1号機と2号機の廃炉に伴って国からの交付金を受け取れなくなった代わりに、中部電力に求めた寄付の一部で、道路の拡幅や小学校の校舎の補修などの工事の費用に充てられている。
 中国電力松江市に対して、去年6月、30百万円を寄付。
 松江市は、アワビの栽培漁業の振興を目的に、平成17年以降、毎年、この寄付金を受け取っている。

 実質国営の日本原子力発電は、去年3月末、福井県敦賀市に対し1億80百万円余りを寄付し、敦賀市は、この寄付金を道路整備費用に充てている。

 また、震災への復興を目的とした寄付もあり、東北電力は、岩手・宮城の両県とともに、去年3月、福島県に対して1億円を寄付したほか、日本原子力発電茨城県東海村に5百万円を寄付している。

柏崎市は>
 柏崎原発は当初1機建設されたが、その後増加し続け今では7機もある(下記表参照)。これは電力会社が、他の地に新たな原発地を求めても地元了解がなかなか得られず、建設できないためであった。しかし、一方で、柏崎市では原発の固定資産税(地元に入る)が、年を重ねるごとに、建物の減価償却により評価額が減少、地元自治体に入る固定資産税が落ち込むことに大きな理由である。当該の自治体は、税収欲しさに原発の増設を電力会社に自らお願いしているというのが実態である。
柏崎の歴代の首長は、柏崎市民のため、その税収を得るためだけに現在7機も稼動させている。
 原発マネー漬けとなっている柏崎市であるが、今後とも、固定資産評価額が年々減少して税収が減るたびに柏崎市は、原発増設を電力会社にお願いし続けることになる。永遠に・・・。(原発立地の自治体はどこも柏崎市と同じ)

  こうした、電力会社の寄付は、直接寄付・間接寄付・事業支援・研究学術支援・地域振興などの名目で行われているが、すべて電気料金の算出根拠となる「総括原価方式」の原価に組み込まれる。
今後40億円が寄付される上述の重粒子線がん治療センターも、治療に当たっては社会保険が効かず、国民共通の治療施設ではなく金持ち用の「がん病院」である。当然、40億円は、電気料金計算の原価に組み込まれている。
以上、NHKの報道記事をもとに一部独自の取材記事も加え作成した。

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